- ホーム /
- ワタシの移住の決め手 /
- 「東京で挫折して訪れた場所が人生の新天地になった」守井朗さんの移住の決め手
People
ワタシの移住の決め手
「東京で挫折して訪れた場所が人生の新天地になった」
守井朗さん(移住歴4年)の移住の決め手
家族構成(移住当時)
守井朗(あきら)さん(42)/ 三奈子(みなこ)さん(46)/椛(もみじ)さん(10)
移住歴:4年(2019年~)
移住エリア:
朗さん 千葉県市原市出身→千葉市→鴨川市→丸山エリア
三奈子さん 埼玉県出身→東京→鴨川市→丸山エリア
東京での生活に疲れた、仕事に挫折した、などの理由で移住や転職を考える人はたくさんいます。今回は、自分の直感を大事にして、動いた先に見つけた山師(林業家)の道を選んだ守井朗(もりいあきら)さん、自宅でカフェを開いた三奈子さんご夫妻にお話しをうかがいました。
直感で動いた先に見つけた職業・山師
「以前は東京のアパレルメーカーで働いていました。小規模な会社から大手の会社に転職したら、人とセッションする機会が増えて、だんだんしんどくなってきたんです。それで、あるとき、逃げ出すように鴨川に住む友人を訪ねました。友人は音楽仲間で、滞在中に音楽とアートを融合させたフェスに連れて行ってくれました。そこで近隣に住む音楽家やアーティスト…おもしろい人達と知り合えて。いつかここで仕事見つけて、暮らしてゆけたらな、と思いました」
朗さんはいったんは東京に戻ったのですが、その後、何度も南房総の各地を訪れました。そして30歳を機に、漠然と「いつか」と考えていた移住と転職を実行に移すことにしました。
「都会に住んでいたオシャレに鋭い人達は、早くから田舎の魅力に目をつけて、移住していく方も多くいましたし『田舎ってオシャレ!』と感じるようになりました。
山師(やまし)という仕事も、チェーンソーを持って、なんとなくかっこいいと思えたし、林業は後継者不足で困っていて、ちょうど募集もされていたんですよね。
そこで千葉県の森林組合に問い合わせたところ、『緑の雇用』という、働きながら林業の技術を学べるプログラムがあることを知って、5年間森林組合で働きながら学びました。森林組合で一緒に働いていた先輩が独立され、その先輩(現社長)に声をかけてもらって、今は旧三芳村にある会社で働いています」
実際、林業に携わってみて、いろいろやりがいが感じられ、自分に合っていると話します。
「自分では(仕事が)うまくなったつもりでいても、実際にはそれほどうまくなっていなかったりします。奥深さがある仕事で、なかなか上達しない自分と向き合う修行みたいだな、と感じます。でもそこがおもしろくて、自分に合っている気がします。自分の思いや技術が、切った後の木に、確実に形となって現れますしね。
それに、仕事をした後のご飯がまたおいしいんです」
※緑の雇用…国が林業会社や森林組合などに採用された人に対し、講習や研修を行ってキャリアアップを支援する制度。
移住当初は鴨川市に暮らしていた朗さん。結婚して子どもが生まれ、引越し先を探しました。もう少し職場に近く、「カフェを開きたい」という奥さんの希望が叶うスペースがあって、娘が通う館山の支援学校に近い場所という3つの条件を満たした場所が、現在住んでいる丸山エリアでした。
ここだから気楽にできる!自分のお店
妻の三奈子さんは、東京のオーガニック・カフェで働いていた時に朗さんと出会いました。娘の椛(もみじ)ちゃんが小さいうちは、おもにイベントなどでカフェを出店していましたが、丸山エリアに転居してからは、穀物菜食カフェ『もみじの手』を営んで います。
東京のカフェで働いていた頃と、今この地でカフェを営む生活の違いを聞いてみました。
「都会で働いていた時と比べて、ここでは生産者の顔が直接見られるし、お米や無農薬野菜も新鮮な 状態で手に入りやすいですね。以前勤めていた時とは違い、無理なく自分のペースで自分のやりた いことができるからいいですね」
「街中でお店を出していたら、埋もれてしまう気もするけど、ここだから気楽にできるっていうのがある。こんな所までお客様がわざわざ食べに来てくれることがうれしいし、とにかくありがたいです」
ありのままの自然体で暮らせる環境
休日は家族でおいしいものを食べに行くことが多く、車で10分の観光地も楽しく、またたまの都会も楽しみ、という感じで過ごされているそうです。
子育ての面でも、田舎で暮らすことは良かったとお二人は言います。
「娘は高いところによじ登ったり、ぶら下がったりすることが好きなので、色んなところに手すりをつけたりと、子どもの成長に合わせて家をカスタマイズできるので便利だなと思います。仕事が終わるのも早く、18時には帰宅して家族とゆっくり過ごせます」と朗さん。
「敷地が広いので、子どもが大きい音を出しても比較的安心です。周囲の方々も優しくて、いろいろ助けてくれます」と三奈子さんも笑顔で話してくれました。
移住検討者へアドバイス
「都会で思い悩んでいるくらいなら、思い切って田舎に飛び込んでみて」
「『新しいビジネスモデルを!』とかじゃなくてもいい。体を動かして働いてくれる人は、とても喜ばれます。農林水産業は、地域の人に感謝されるいい仕事ですよ。南房総は、移住者同士のネットワークやコミュニティが発達しているところだから、仲間ができやすい。寂しくはないですよ。しかも家族がいれば支え合えるしね」 「田舎の方が都会よりも生きてく上でかかるコストが低いから、自分の好きなことにチャレンジ できる余地があると思いますね」 (本記事の内容は2022年取材当時のものです。)