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【南房総学】富浦中1年生「働く人の話を聞く会」

11月下旬に行われた「働く人の話を聞く会」。真剣に耳を傾ける生徒たち

 

南房総市では「南房総学」という地域学習を推進しています。
今回、富浦中学校では、南房総学の一環として、南房総の魅力や地域の職業について理解を深め、生徒自身の将来についても考えてもらいたいと「働く人の話を聞く会」を企画。「南房総市に移住してきて働く人」をテーマに、南房総市に27年前に移住し新規就農した八木直樹さんと、南房総市役所で移住促進を担当する総務部企画財政課の押元大起さんが講師として招かれ、授業が行われました。

 

働く人の話を聞く会

「働く人の話を聞く会」は、11月下旬、富浦中学校の図書室で1学年の生徒33名に対し行われました。冒頭に講師の紹介が行われた後、三芳地区でやぎ農園を営む八木直樹さんのお話からスタートしました。

八木さんは30歳の時に農家になることを決断。その後東京を離れ、茨城県で1年間の農業研修を受けた後、当時有機農業の先進地として知られていた三芳村(現:南房総市三芳地区)へ移住、新規就農しました。そして現在、農薬や化学肥料を使わない有機農業を営んでいます。
授業では有機農業の1年間のサイクルや育てている作物、竹やワラなどの地域資源を生かした取り組みなどが写真とともに紹介されました。

八木さんは農業について

「作物の生長の様子を見守る楽しみ」
「食べる楽しみ」
「食べてくれる人達の喜ぶ様子がわかる楽しみ」
「観察し、工夫する面白さ」

がある、と話してくれました。

農業を志すきっかけや農業の楽しさについて話す八木さん

 

自分たちが食べている給食の食材も提供してくれている八木さんのお話とあって、生徒たちは熱心に話を聞いていました。

生徒から「農業をしていて大変なことは何ですか?」と聞かれると、八木さんは「獣害や自然のリスクなど大変と感じることもありますが、農業には大変なことを上回る楽しさがあります。私にとって農業は芸術活動と一緒で楽しさそのものです」と答えていました。

最後に、八木さんからは「食べ物を作る農業は、ますます大切になります。有機農業をやってみたい人が増えることを期待しています」とメッセージが送られました。

 

続いて、南房総市総務部企画財政課の押元大起さんが登場。

まず押元さんは、自身のプロフィールについて紹介。幼少期には流山市やインドに滞在経験があり、大学進学時は上京、その後南房総市へ帰省ということで、自身も南房総市へのUターン移住者とのこと。そして、公務員になってからは、保健福祉部、農林水産部、市民生活部などへの異動を経験し、現在は南房総市の移住・定住プロモーションの担当者として、情報発信や移住相談など様々な業務を担当しています。

「ひと言で移住といっても、移住には[Uターン][Iターン][二地域・多地域居住]などいくつか形態があります。そして一度南房総市を離れたことがある人は全員移住者です。皆さんの周りにも移住者はたくさんいます」と話す押元さん。

続いて、「なぜ移住促進が必要なのか」ということについて、生徒たちに人口ピラミッドを見せながら、少子高齢化の現状や将来の人口予測について説明しました。

人口の推移を見た生徒たちからは

「やばい、やばすぎる」

と声が漏れていました。

人口ピラミッドと将来の予測について説明する押元さん

 

人口が減ると起きる問題についても、生徒たちと一緒に危機感を共有。

「ゴミが増える」
「農林業・水産業への従事者が減る」
「耕作放棄地が増える」
「税収が減ってしまうため、行政サービスが行き届かない」

などが問題点として挙げられました。

「人口減による悪循環を少しでも食い止めるために移住促進を行っています」と話す押元さんは、続いて南房総市の移住施策について移住・定住ガイドブックとともに紹介。

「南房総市はイチオシの取組として[起業支援][新規就農支援][子育て支援・教育][住宅購入補助]を掲げています。中でも南房総市は子育て世代の移住を推進しているため、[南房総学][完全米飯給食][塾利用助成]など特色ある子育て支援・教育について積極的に情報発信を行っています」と説明しました。

移住・定住ガイドブックを初めて手に取る生徒たち

 

次に、ガイドブックで紹介している移住者3名について、「移住の決め手」や「現在の職業」などをお話しました。そして「南房総市にどのような魅力を感じ、どのような仕事をしているのかは人それぞれ」であることを伝えました。

最後に、押元さんは「南房総市の魅力はたくさんあります。その多様性こそが南房総市の魅力であるということを、移住を検討されている人たちにもっとPRしていきたいです」と話していました。

市民の方々とのワークショップから生まれた “ 七色の自然に暮らす ” というブランドメッセージについても紹介

 

今回の授業を企画した富浦中学校1学年の主任:鴇﨑先生によると
「今の子どもたちは進学を機に一度都会へ出ると、そのまま就職し、地元に帰ってこないケースが多いのが現状です。今回、働く人の話を直接聞くことができ、とても良い刺激になったと思います。南房総市には多くの魅力があります。生徒たちにも自分たちの環境についてもっと魅力を感じ、『将来、南房総市で働く』ということを選択肢の一つとして考えてくれたら嬉しいです」
と話してくれました。

南房総市が推進する「南房総学」。故郷への誇りと強い思いを胸に、子どもたちには明るい未来を切り開いてほしいですね。

 

【関連リンク】
特集記事:子どもを切れ目なく見守り育てる南房総の保幼小中一貫教育

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