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2024.02.19
先人の知恵「マキの生垣」
南房総地域では所どころで家の周囲を生垣で囲んでいる景観が見られます。
時々「この地域は閉鎖的なの?」聞かれることがありますが、決してそういうわけではありません。生垣で家の周囲を囲んでいるのは、境界や目隠し以外に大きな理由があります。そしてこの生垣に多く使われているのが「イヌマキ」という種類の木です。
イヌマキはマキ科の常緑針葉樹の一種で、潮風に強く耐陰性が高いことから、太平洋沿岸地方の生垣に比較的多くみられます。暖地性のため、房総半島が本州の北限といわれています。
千葉県ではイヌマキが県の気候風土に合い、街路、公園、庭木など県民の目によく触れることから、イヌマキの名称を「マキ」と改め、「県の木」(昭和41年9月29日)として指定しています。
マキ(イヌマキ)は樹高や樹形を仕立てやすく、葉が細長く密に生えるため、定期的に刈り込みを行うことで遮蔽性の高い生垣になります。また、成長が遅く、丈夫で病害虫も少ないことも生垣として好まれる理由です。
そして、南房総におけるマキの生垣の大きな役割が防風対策です。南房総は太平洋に大きく突き出た房総半島の南端に位置するため、風の影響を受けることが多く、特に冬の西風は「大西(オオニシ)」と呼ばれ、時には風速20mを超える台風並みの強風になることがあります。そのため南房総ではこの強風の影響を少しでも和らげるため、多くの家がマキの生垣で周囲をめぐらせていたと考えられます。
古民家が多く残る地域では今でもその景観を見ることができ、現在、南房総市富浦地区と丸山地区にあるマキの生垣は「ちば文化的景観」に認定され、地域の貴重な財産となっています。
防風以外にも防砂、防潮、防火、防音など様々な役割を果たしているマキの生垣。
南房総では先人の知恵として現在も受け継がれています。
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