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2024.04.17
低名山人気の裏側
房総半島最南端の南房総市は、市域が東京湾側から太平洋側までまたがるほど広く房総丘陵の名立たる山々を擁しています。また海に囲まれた特性上、海洋性気候により冬季の寒さが厳しい時期でも温暖。したがって当地では、山梨・長野などで積雪で登山が困難な時期においては逆にほどよい涼しさで過ごしやすいため、11月から5月にかけてが登山のシーズンです。
今回は、低名山人気を支える登山道整備の現場を取材してきました!
花嫁街道(烏場山)
南房総市和田地区で鴨川市と隣接するエリアに花嫁街道という登山道があります。
ここは江戸時代から漁業で栄えた漁村和田浦と山間集落を結ぶ大事な交流の道でした。かつて山里から花嫁が婚礼の行列をつくり和田浦へ嫁いでいったとされ、いつからか花嫁街道と呼ばれるようになりました。
現在は1周約8kmの登山道として整備され、晩冬から春先にかけての山麓では菜の花が咲き誇り、尾根からは太平洋や房総の山々、晴れていれば富士山を一望できます。
道中通過する「烏場山」は、登山家の岩崎元郎氏により「新日本百名山」に、酒場詩人の吉田類氏により「吉田類の愛する低山30」に選定され、房総半島ならではの自然環境と里見伝説の共存が楽しめる人気の低名山です。
「花嫁街道保存会」とは
花嫁街道は、地元の有志たちが40年以上ボランティアで整備してきた歴史があります。
現在は前身の「和田浦歩こう会」から事業を引き継いだ「花嫁街道保存会」が定期的に登山道整備を行っています。主な活動内容は登山道の草刈り・被災木除去、急傾斜ポイントでのステップ(階段)づくり、道標整備などです。
整備の方針は自然に少し手を加えるだけ。具体的には山で材料を現地調達し自然環境を活かした登山道を維持していきます。
作業の現場1(崩落ポイントの「巻き道」造成)
今回の現場は花嫁街道登山口から入山してほど近いポイント。令和元年房総半島台風・令和元年東日本台風の一連の大雨で登山道が崩落したため、適度な傾斜を確保しつつ安全に通行ができるよう、事前に地権者に造成の許可を得て巻き道(迂回路)を整備します。
作業の現場2(資材の現地調達)
崩落現場からほど近い場所で、ステップ(階段)の資材として使う杉の木を確保します。
こちらも事前に地権者に許可を得て調達、今回は写真左手の杉林に入り、強風や雨によって倒れた被災木を切り出して活用します。
里山エリア出身の会員さんはチェンソーの取り扱いはお手のもの。
ステップと固定するための杭、土留め丸太を作成するため240cmと120cmの細めの杉の丸太を確保します。
切り出した丸太をバンドで縛って整備現場まで運びます。
鼻歌交じりに重さ数十キロの丸太を搬出。一般家庭にガスコンロがなかった昭和初期までは、炊事のためにこのような光景が当たり前だったのでしょうか?などと考えていたらあっという間に置いて行かれてしまいました笑
作業の現場3(材料加工、ステップ・土留め造成)
運び出した丸太は巻き道の整備現場で加工します。
杭の作成にはチェンソーとナタを使用、ステップや土留め丸太の設置には土木作業用の鍬で地ならしを行い、掛矢(木槌)で杭を打ち込みます。
この日は20数段のステップと土留めの設置が完了したため、登山道の崩落で手を使って攀じ登らなければならない箇所が、歩いて通過できるようになりました。
花嫁街道保存会のみなさん、いつも綺麗に登山道を整備いただきありがとうございます!!
ふるさと納税について(寄附金の使い道)
ふるさと納税でみなさんからいただいた寄附金(自然環境を活かした地域づくり事業)は、今回ご紹介した花嫁街道保存会の取り組みのうち、活動の保険料、消耗品代に活用しています。いつも温かいご支援をありがとうございます!!
イベント開催(トレイルラン、登山大会、登山部活動)
花嫁街道は一周8kmで烏場山から東回りは急傾斜ポイントと登り応えがあり様々な山容を楽しめることから、高校登山部の活動のほか多くのイベント・撮影で活用されます。
令和6年4月14日(日)には第4回花嫁街道トレイルラン大会が開催され、シングルコース14kmに180人、ダブルコース23kmに70人、計250人が温かい声援に迎えられ周回トレイルを楽しみました。
「昭和の時代は2件の花嫁行列が通行したとされます。最後の花嫁さんは昭和25年和田浦から山間集落へ嫁ぎました。」とご説明される相川会長。
登山シーズンは5月中旬まで。
手作りの登山道を歩き、当時の花嫁さんに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
【関連リンク】
・NHK吉田類のにっぽん百低山で富山が紹介されます
・【烏場山:花嫁街道】『吉田類の愛する低山30(NHK出版)』に選定されました!
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