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2025.02.19
岩井の定置網漁を取材してきました!
南房総の漁業の柱の一つ「定置網漁」。
今回は、南房総市の内房(東京湾側)、岩井富浦漁業協同組合の岩井の定置網漁を取材する機会をいただきましたので、その様子をレポートします!

内房(東京湾)の岩井地区の小浦漁港に停泊する2艘の定置網船「第八富山丸」と「第十八富山丸」
「定置網漁」とは
「定置網漁」とは、沖合に大きな網の罠を仕掛け、そこに回遊する魚群を誘い込み、網に入り込んだ魚を2艘の漁船で挟み込んで漁獲する漁法です。「定置網漁」は南房総の漁業の中でも水揚げの大きい漁法のため、漁協運営の柱にもなっています。
※詳しくはこちらの記事でも紹介していますのでご参照ください。

乗組員宿舎の食堂に飾られている岩井の大型定置網の模型。右下に伸びる「垣網」沿いに泳いできた魚はその上の一番大きな「運動場」に入り、真ん中の「登網」、左の「箱網」へと進む。「箱網」内は魚が出にくい構造になっているため、その「箱網」に留まった魚を漁獲する。岩井の大型定置網は「箱網」が2つあるのが特徴とのこと。
1.出港 5時45分~
取材日は令和6年12月25日(水)のクリスマス、早朝5時30分に小浦漁港に集合です。
温暖な南房総ですが、この日の早朝の気温は2℃。頬に当たる弱い北風がヒンヤリと冷たく感じます。
5時45分、2艘の船に11人の漁師さんと乗船し、夜明け前の真っ暗な海へ出港しました。
波は穏やかで、大きな揺れは感じませんでしたが、沖合に進むほど風が強くなり、少しずつ寒さが増してきました。

乗船してから船が港を離岸するまではあっという間です。

真っ暗な海へ出港します。

少しずつ夜明けが近づいてきます。
2.漁場到着 6時10分~
出港から約25分、網を仕掛けた沖合の漁場に到着です。漁師さんはそれぞれの持ち場につき、手際良く持ち場の作業をこなしていきます。

漁場に到着すると直ぐにあうんの呼吸とチームワークで手際よく作業を始める漁師さん

夜明けと同時に、これから約40~50分をかけて、2艘で網を挟みこむように揚げていきながら、網の中の魚を追い込んでいきます。

この日は運よく晴天。空がピンク色に染まり、富士山がくっきりと見えてきました。
3.漁獲作業 7時00分~
いよいよ漁獲作業です。2艘の船を寄せて網を囲むように引き揚げながら魚を1カ所に集めます。そして、集めた魚をまずは手持ちのタモ網ですくい揚げていき、魚種を選別しながら船上のイケスに入れていきます。最後は大型のタモ網に魚を集め、クレーンで引き揚げて漁船のイケスに格納します。

船同士を寄せて網を引き揚げながら魚を集めていきます。

集めた魚を最初は手持ちのタモ網ですくい揚げていき、魚種を選別しながら船上のイケスに入れていきます。

真剣な眼差しの漁師さん

最後は大型のタモ網に魚を集め、クレーンで引き揚げます。

イケスの中で獲れたての魚が威勢よく水しぶきを上げていました。

獲れたワラサを直ぐに船上で活け締めする副船頭の大塚さん。魚の鮮度や価値を損ねないよう、魚種によってこういった一手間を大切にしているそうです。

この日はシュモクザメの姿も。普段岸辺では見かけない魚種が沖合には多くいます。
4.帰港 7時20分~
漁獲作業を終え、小浦漁港へ帰港します。

甲板に立ち朝日を浴びる漁師さんの姿が凛々しいです。

伊豆大島を背に。

富士山を背に。

ツインピークの頂上がシンボリックな「南総里見八犬伝」の舞台「富山」に向かって帰港します。
5.水揚げ 7時40分~
小浦漁港に帰港すると直ぐに水揚げ作業です。漁師さんたちは手際よく魚を仕分けていきます。

この日はタチウオやサバが多く獲れていました。
6.網干し 8時15分~
水揚げ作業が終わると、朝の最後の作業「網干し」を行います。
7.朝食・休憩~お昼頃まで作業 8時30分~12時00分
「網干し」が終わると、港内の乗組員宿舎の食堂で朝食です。(取材はここまででしたが)朝食後に休憩を取り、正午ごろまでもう一仕事。この日は「土俵打ち」という網を沖合の一定の位置に張る作業を行います。
岩井の定置網船の基本的な一日の仕事の流れは、季節に応じて出港時間(日の出の約1時間前)が変わりますが、一般的なサラリーマンと同じように、1日約8時間労働を目安にしているとのことでした。
取材の最後に、船頭の田畑晋(たばたすすむ)さんと副船頭の大塚恭弘(おおつかやすひろ)さんにお話をお伺いました。

「(今日の漁獲は)多くはないですが、この時期は大体こんな感じですね(笑)」と明るく前向きな船頭の田畑晋さん。

「この時期は冬枯れといって、漁獲が少ない時期ですが、これから3月にかけて房総特有の季節風「大西」が吹くと魚を呼んでくれます。昨年はイサキが多くとれたので今年も期待しています!」と副船頭の大塚恭弘さん。
南房総の魅力と言えば「海」。
今回は、その南房総の内房の東京湾から「海の幸」を届けてくれる要の仕事、岩井の定置網漁を取材させていただきました。
ご協力いただきました皆さん、ありがとうございました!

小浦漁港の癒しのアイドル猫ちゃんたち
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