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2023.03.15
花嫁街道トレイルラン2023に出場しました!
今回で第3回大会となる花嫁街道トレイルラン。
皆さんは参加されましたでしょうか?
令和5年3月12日(日)の開催は、令和4年2月27日(日)の前回大会と比べると、陽気はより暖かく風も穏やか(前回、前々回大会ともに凄まじい強風でした)。そして会場や沿道の菜の花畑も満開というご褒美のような好条件に恵まれました。
実は私は第2回大会から参加しており(第1回大会は失意の調整不足)、今回も当然ながら出場の一択です。
大会のコースはコチラになります。
花嫁街道は、塩汲みの道として昔から和田地区の山間集落と漁村との交流を支える街道として活用されてきました。かつて嫁ぎ先へ花嫁行列が通行した伝承から、いつしか「花嫁街道」と呼ばれるようになり、現在は周回コース一周で約8kmの登山道として、多くのハイカーたちに親しまれています。
道沿いには、新日本百名山に選定されている「烏場山」のほか、里見伝説にゆかりのある「じがい水」、「経文石」など、随所に見所がある登山道です。
今回は、花嫁街道の魅力を中心に紹介しつつ、レースの状況についてレポートしていこうと思います。
開会式、スタート(花の広場公園「花夢花夢」)
スタート・ゴール会場である国道128号線沿いに位置する花の広場公園「花夢花夢」は、「花と鯨のまち」和田町に相応しい、躍動的な鯨の尾のモニュメントと咲き誇る菜の花畑が象徴的な市民公園です。
受付でエントリーを済ませ、参加賞のTシャツとゼリーを受け取ります。
今回の参加賞は、花夢花夢公園にある鯨の尾のモニュメントをモチーフにした可愛らしいTシャツでした。参加する度にこうしたグッズが増えるのは嬉しいですね!次回の参加賞は何か期待が膨らみます!
午前9時45分より開会式です。
大会主催者より、令和元年房総半島台風で県内の各登山道と同様に花嫁街道も大変な被害を受けたこと、そして多くのボランティアの方々のご協力により、見事復活を遂げたことなど、大会開催に至るこれまでの経緯について説明がありました。また、レース当日も多くのハイカーがハイキングを楽しんでいることから、すれ違い際の声掛け・減速などの安全対策を徹底すること、熱中症対策として1L程度の水分携帯を奨励することなど、諸注意を受けました。
午前10時より、今回から新設された花嫁街道を2周する約23kmのダブルコースがスタート。
参加者は70名、アップダウンが多い過酷なトレイル(未舗装の山道)を23kmも走るコースともあり、皆屈強なランナーに見えます。特にレース後半は疲労が予想されることから、転倒による捻挫・骨折などの怪我なく無事に完走されることを祈るばかりです。
午前10時30分、シングルコースのスタートとなりました。
私の出場する約14kmのシングルコースは、参加者が211名のため、目標タイムに応じた3つのグループ分けがされていました。前回大会と同様、2時間切りを目標としている私はBグループでのスタートです。
スタート会場の花夢花夢公園からは、山側の道路まで抜けて約1.6km住宅が続く市道を走ります。柴区・花園区の皆さんが、沿道まで出て暖かい声援を送ってくださるのがとてもありがたかったです!
「抱湖園」周り~新日本百名山「烏場山」
舗装された市道を抜けると、房総半島花づくりの父、間宮七郎平が花園という地名に相応しい桃源郷をイメージし、多くの花木を植えた「抱湖園」付近に到着。抱湖園の近辺をぐるりと周り、花園広場、黒滝上部、花婿コース入口、金毘羅山、旧烏場展望台を経由し、烏場山まで至る行程になります。
さあ、長く続くトレイルパートの始まりです。
抱湖園下の桜並木を抜けると、海の見える見晴台、抱湖園上部までひたすら登り坂が続き、越えてからは緩やかなアップダウンを繰り返して花園広場まで取り付きます。
花園広場からは、房総の名瀑「黒滝」方面ではなく、林道花園線を登り、黒滝の上部に架かる橋を渡って、「花婿コース」の入口である金毘羅山登山口に向かいます。
金毘羅山登山口から烏場山までのスパンは、「花婿コース」と呼ばれ、険しい急登の連続。長い坂を目の当たりにした多くのランナーは走るのを止め、肩で息をしながら歩き出す険しい山道です。
「これから烏場山までの約30分程度は、ひたすら登り坂ですね。だから花婿コースっていうんですよ。」
歩き出して列になるランナーたちに説明すると、皆さん、「先に行ってくれ」と言わんばかりに道を譲ってくれます。うーん、こんな良いレース戦略があったのか。
急登を越え、金毘羅山に到達すると、尾根を伝いながら旧烏場展望台を抜け烏場山まで至ります。
元々、「烏場山」とは旧烏場展望台のことを指し、現在新日本百名山といわれる烏場山は、かつては「笹塚山」と呼ばれていました。それが何かの手違いで「烏場山」と呼ばれるようになり、現在はその名称が定着していると地元の精通者に伺ったことがあります。
また烏場山手前のコース外には、明治時代の馬頭観音が安置されており、花嫁街道が昔から街道であった歴史に触れることができます。令和元年の台風以降、登山道復旧のために幾度となくチェンソー、油、チルホール、バール、掛矢、刈り払い機、資材、そして丸太等数十キロの重量物を担ぎ、この急登を登っては滑り落ちた自分自身を振り返ると、かつてここで果てたであろう馬たちについてはどうも他人事のように思えません。大変だったろうな、荷物が重かっただろうな。今度人参をお供えに来るからね!
ぜえっ!ぜえっ・・・!大きく脱線しました。レースに戻りましょう。
急登を登りながらレポートの構成を考えていると酸素を多く消耗し、大変効率が悪いですね。
烏場山山頂に到着しました。こちらには恋愛成就請負人の「おふくさん」がいらっしゃいます。景色も綺麗な場所ですので、恋人同士での登山もオススメですよ!
私のペースでは、スタートしてから烏場山山頂まではおおよそ1時間でした。
「烏場山」~ゴール「花夢花夢公園」へ
入山してからは急登を登り続け、ひたすら体力を消耗する時間が続きましたが、ここからはご褒美タイムです。
烏場山から花嫁街道入口までは、大変下り坂が多いパートとなります。
「腰・膝・足首にくるトレイルの下り坂は苦手だ。」
「スピードのつきやすい下り坂は、木の根など見切りづらい要素が多く、捻挫等受傷のリスクが懸念される。」
多くのランナーは下り坂に苦手意識を持つかもしれません。
ですが私は下り坂はスピード感があって大好きです。ましてや、花嫁街道は数十回登り続け知り尽くしたホームコース、下り坂最高です!
ただし怪我やハイカーとのすれ違いには十分留意してください。
ここからは、花嫁街道入口までの名所を順に紹介していきます。
○第三展望台
花嫁街道の尾根伝いから西に開けた景色を望める展望台。よくよく見ると「房総のマッターホルン」と呼ばれる「伊予ヶ岳」を望め、気象条件に恵まれると伊予ヶ岳の背後に富士山を眺めることができます。
○カヤ場
屋根材として利用された「茅」をかつて採取していた場所です。所々に炭窯跡を確認することができます。ハイキングで訪れ、お昼ご飯を食べるポイントは「カヤ場」、「第三展望台」、「烏場山」がオススメ。
○駒返し
諸説ありますが、塩汲みの道として利用される中、この先は「猿渡」という名称の狭隘な道で、馬や牛の通行が困難で引き返すことが多かったことから、「駒返し」と呼ばれるようになりました。多くのランナーが、道幅が狭い根の多く張る山道を、猿のように飛び跳ねて駆け降りて行きました。
○じがい水
諸説あります。里見伝説において、里見義豊の側室倉女が、稲村城落城の際に五十蔵(和田地区の山間部)まで逃れた折、追っ手を討つべく血戦した従者の佐浦某が負傷の末自害し、その後絶えることなく水が湧出したという由縁の地です。
○経文石
こちらも諸説あります。里見家家臣である小倉の主従が難を逃れるためにお経を唱えたとされ、かつてはこの岩の下側を通るとかすかに梵字が確認できたそうです。経文石に根付いた椎の老樹は元々鬱蒼とした枝ぶりでしたが、台風による相次ぐ被災でへし折れ、現在はすっきりとしています。
○マテバシイ林
房総半島では、古くは150年ほど前から植樹され、薪、海苔のひび、農園の風除け等、多くの用途で使用された馴染み深い樹木。どんぐりも多く採れます。花嫁街道では昭和の初期頃に植樹され、あたり一面のマテバシイはまさに壮観で美しく、走り抜けるととても心地良いです。
下り坂をあっという間に駆け抜け、花嫁街道入口まで到達しました。
ここまでは私のペースで1時間30分。さあ、あと30分ほどでゴールです!
花嫁街道入口からは、林道花園線を進み、途中から分岐し、レース序盤に走った抱湖園方面の登山道に合流。舗装路で登り坂が多くなることから、終盤に消耗した脚には大変堪えます。
「右脚の付け根が痛み脚が前に出ない、左脚のふくらはぎも間も無く攣りそうだ。」
レース前日にも拘らず、好天の誘惑に負けてサーフィンに行ってしまった自分が今更ながら憎い!そこに魅力的な海があるからとはいえ、何故自分はコンディション調整を優先しなかったのか?綺麗にテイクオフを決め、「ウェーイ(シャカポーズ)!」なんてやっていた自分が憎々しい。
どうしようもない想念に付き纏われながらもなんとか抱湖園付近を下り、スタート直後に走った1.6kmの市道をゴールに向けて進みます。タイムは1時間45分。あと少しだ!
沿道では変わらず地区の皆さんが暖かい声援を送ってくださり、疲労困憊のランナーにとっては、最後の力を振り絞る励みになりました。コース沿いの大蛇も応援してくれているような気がします。
そして、ゴールの瞬間です!
会場では、多くの方々がランナーの帰還を迎えてくれました。困難な道のりではありましたが、完走した後はなんとも言えない充実感に満たされ、これは出場したランナーにしか味わえない醍醐味かもしれません。
海を望める尾根道を周回する花嫁街道トレイルラン。如何でしたでしょうか?
この時期は菜の花も満開で、気候も人も暖かく、また地元ボランティアの方々が綺麗に整備してくださった登山道は初心者の方のアタックにも安心な極上トレイルです。
次回大会、皆さんのご参加を心よりお待ちしております。
お昼には「鯨のまち和田浦」で鯨料理を是非お楽しみください!
なお、今回のレポートではあまり触れていませんが、スタート・ゴール会場内では飲食や物販のお店も各種出展しており、快適に過ごすことができますよ!
【関連リンク】
・南房総花嫁街道トレイルラン2023大会ホームページ