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2023.05.08
新緑の低名山が魅力です
「山高きがゆえに貴からず、樹あるを持って貴しとなす」
往年の低名山ブームで良く聞くフレーズではないでしょうか?
平安後期から明治初期までの間、寺子屋の教科書として活用された「実語教」に記された教訓で、本当の価値は見かけだけで決まるものではなく、実質が伴ってこそ貴ばれるという意味です。
実は南房総市、千葉県の低名山を擁する房総丘陵の名だたる山々を有し、特に新緑のシーズンは山岳アクティビティがオススメなんです!
今回は、上記の教訓を体現した山々の見どころについて書きたいと思います!
伊予ヶ岳(関東百名山)
「房総のマッターホルン」といわれ、市内の山々では名実ともに一番人気の山です。
房総半島は四国と縁が深く、館山市南端エリアにかつて阿波忌部氏が東遷したという話は有名。伊予ヶ岳は、そのフォルムが愛媛県を代表する山、石鎚山に大変似ていることから、「伊予の大岳」という石鎚山の別称から、「伊予ヶ岳」と名付けられたそうです。
主要な登山道ルートは、麓に鎮座する平群天神社から山頂まで登る天神社ルート。境内の中にある登山者用の駐車場と公衆トイレをご活用ください。
平群天神社は、主祭神を「菅原道真公」とし、その他「木花咲弥姫命(このはなのさくやびめのみこと)」、「天照大神(あまてらすおおみかみ)」、「建御名方神(たけみなかた)」を配祀しているため、御利益としては、「学業成就」、「安産や子育て」、「開拓前進」、「必勝祈願」、そして「交通安全(安全登山)」がありますので、登山前には是非参拝をされるといいでしょう!
緑に囲まれた急登を30~40分ほど登ると、「肩」と呼ばれる東屋が設置されたエリアに到着します。
ハイキングコースはここまでとなり、この先はロープや鎖が張り巡らされた岩場、手を使って攀じ登る伊予ヶ岳の核心部分です。登山の経験や装備が不十分な方、体力に自信のない方、小さなお子様はこれより先は通行を見合わせた方がいいでしょう。
岩場を最後まで進むと、平群天神社から見上げた岩場、360°の大パノラマを堪能できる伊予ケ岳南峰に立つことができます。また、徒歩で数分先には伊予ヶ岳北峰があり、北峰からは雄大な南峰の姿を眺めることができますので、お見逃しなく!
このアタックは下山まで合計2時間程度所要します。
富山(関東百名山)
富山(「とみさん」と読みます)は、伊予ヶ岳と同様に独特な山相を持っており、双耳峰が美しい、歴史と伝説が共存する山です。
推奨ルートは富山地区合戸の福満寺からアタックする福満寺ルート。公衆トイレは登山口の福満寺脇に、無料駐車場は県道258号線を海側へ数百メートルほど進んだ市立富山学園下に設置されています。
登山を開始し、7合目までは比較的緩やかな傾斜が続きますが、これ以降は急登となります。
急登を登りきると南峰に至り、石段をさらに登ると観音堂に到着。石段を下りて尾根道を進んでいくと、北峰に取りつくことができますが、その途中の鞍部に設置された東屋からは、岩井海岸(東京湾)の見事な眺望を得ることができます。
こちらは、曲亭馬琴の伝奇小説『南総里見八犬伝』ゆかりの地で、八犬士終焉の地とされます。
また、八犬士誕生の地も別ルート(林道奥沢線沿いを進む伏姫籠穴ルート)にあり、物語を忠実に再現した「伏姫籠穴」が設置されています(このルートの後半は大変険しい道のりです!)。
富山北峰に到着しました。
ここは、かつて江戸湾警備に従事した松平容保が登山の折り、その見事な眺望から、「十一州一覧台」と名付けた地です。十一州というと、関八州(武蔵、上野、下野、下総、上総、常陸、安房、相模)に伊豆、駿河、甲斐を加えた具合でしょうか?しかし、冬場の冴えた空気の中では、南アルプスも確認することができるので、信濃も入るのでは?そうすると十二州?となりますが、一つの比喩でしょうから、みなさんの目でその眺望をお確かめください!
こちらのアタックも下山までおおむね2時間程度所要します。
なお、富山だけでは歩き足りないハイカーは、先に紹介した伊予ヶ岳を天神社ルートから山頂まで行き、下山時に登山道途中で川上ルートに分岐、伊予ヶ岳-富山縦走路を経て吉沢ルートから富山北峰に取りつき、尾根道を伝って南峰経由で福満寺まで歩く約8kmを踏破します。
新緑の南房総、是非是非ご堪能ください!
夏に3,000m峰などの本格的な登山をされる方も、足慣らしにオススメですよ!!
【関連リンク】
・市営路線バス富山線トミー号
※公共交通をご利用の方は、JR内房線岩井駅又は高速バス房総なのはな号(下り 木更津羽鳥野・上総湊・館山・千倉・安房白浜方面)ハイウェイオアシス富楽里下車後、市営路線バス富山線トミー号をご活用ください!