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千葉県最高峰の山とは・・・

富浦地区原岡桟橋から望む富士山

 

日本国内には、名だたる山々があります。
最高峰の富士山(3,776m)をはじめ、北岳(3,193m)、奥穂高岳(3,190m)と続き、主峰だけとするのか、いや、前衛峰や衛星峰を含めるのかと定義づけによっては、3,000m峰は合計で21座とも27座ともいわれてます。ちなみに国内登山最難関といわれる剱岳は2,999m。この近辺の標高は、錚々たる山々が連なります。

それでは千葉県はどうでしょうか?
実は県内には500mを超える山は一つもありません。しかし、何と千葉県最高峰の山が南房総市内にあります。
みなさんはご存知でしょうか?そう、愛宕山です!

愛宕山とは

和田地区花嫁街道第三展望台から眺める房総の山々、愛宕山は山頂近辺のレーダードームが目印

 

南房総市の丸山地区北側と鴨川市市境近辺に位置する愛宕山は、標高408.2mで、航空自衛隊峯岡山分屯基地の敷地内に山頂を有する山です。
724年に行基菩薩が山に入り主となったとされ、その後1000年経過し、1720年の夏、長く続く日照りを解消するべく雨乞い祈願のため、山頂から100mほど南側の場所に石宮が造営されました。1738年には、嶺岡牧御馬方斉藤三右衛門の命により拝殿が、その後1742年には五輪塔が建立されました。この神社の主祭神は「軻遇突智命(かぐつちのみこと)」、愛宕神社として多くの方に親しまれています。

航空自衛隊峯岡山分屯基地

終戦後間もない1950年に朝鮮戦争が勃発、国際情勢が再び緊張状態となった中、翌年1951年には日米安全保障条約が調印され、国防問題は重要課題として位置づけられました。
これを機会に、首都防衛の要衝である千葉県最高峰の愛宕山へレーダー基地の建設が、1953年6月米軍により開始され、翌年1954年1月から運用開始。1960年には、米軍から自衛隊に基地が移管し、翌年1961年7月に航空自衛隊第44警戒群、峯岡山分屯基地と改称されました。
本基地の主な任務は、航空警戒管制業務で、山頂に設置されたレーダーを用い、日本の領空に接近する外国航空機の発見と、領空侵犯機に対する自衛隊戦闘機の誘導等を行います。

以上が、火伏の神様が鎮座する愛宕山に、国防基地が設置された経緯です。

愛宕山に登ろう!

国道410号を左折し防衛省管理道路を進みます

 

さて、千葉県最高峰の愛宕山です。
峯岡山分屯基地の次のサイトに案内されているように、見学予定日の2週間前までに電話にて事前予約をする必要があります。予約後、「三角点見学申請書」、「三角点見学名簿」を提出。自家用車で基地まで向かう場合は、あらかじめ「車種」、「車色」、「車のナンバー」を伝えます。見学当日は顔写真付の身分証明書を携行ください。
ここ数年は新型コロナウイルス感染症への対応から、山頂見学は延期されていましたが、令和4年12月1日より再開。実は私自身、南房総の山々は相当数アタックしているものの、愛宕山だけは登った経験がないため、今回は愛宕山登山と、航空自衛隊峯岡山分屯基地についてレポートしてみたいと思います。

峯岡山分屯基地まで

この看板が左折ポイント

 

取材当日の4月26日(火)はあいにくの雨。ここ数日天候に恵まれていたのに、この日だけ雨(ちなみに翌日は快晴でした・・・)。さきに愛宕神社の歴史で触れた雨乞いのご利益からでしょうか?
ここは、近代アウトドアウェアの機能性・快適性を実感するための絶好の機会とし、ポジティブに捉えていきましょう!

目的地は峯岡山分屯基地です。
基地までのルートは、国道410号線を南側から北側に向けて走る場合は、日本酪農発祥の地である「酪農のさと」を通過後、左へ分岐する防衛省管理道路に案内看板が設置されています。ここを左折して3kmほど進む(途中分岐で左折)と到着です。

整備された管理道路を約3km進みます

 

峯岡山分屯基地入門ゲート

警備犬のユウ号、今回は不在だったユーリ号と交代で警備します

 

入場ゲート前に到着。
車を停車し、警衛所の隊員さんに事前申請をした愛宕山三角点の見学に来たと伝えると、駐車場まで案内していただきました。
ゲートでは、警備犬の『ユウ号』が迎えてくれました。外部の人間が入門すると吠えるよう訓練されており、当然ながら、近づいた私も吠えられます。うーん、仕事に忠実でお利口だ!
車両を駐車場に停めて下車し、身分証明書を提示します。その際、写真撮影は基地施設が写りこまないよう諸注意を受けますので、みなさんもご留意ください!

ご案内いただく隊員さんは

愛宕山三角点見学は基地隊員さんが同行

 

今回の取材でご対応いただいた隊員さんは、広報担当の2等空尉 細田 拓郎さん(左)、3等空曹 恒松 賢さん(右)のお二人。

コロナが収束する中、再開した三角点見学についてお聞きしました。

「三角点見学は、コロナ禍でしばらく休止していましたが、令和4年12月から再開しています。週末を中心に人気があり、定員20名に達することも。12月の見学再開から3月末までの期間は、600名を超えるお申込みをいただきました。」

かなり人気がありますね!見学に参加される方たちの傾向を伺うと、

「比較的年配の方が多いです。中には全国47都道府県の最高峰を全て踏破される方もおり、遠方から見学日を指定していらっしゃることから、多少の雨でもご要望に応じて三角点見学は実施しています。」

今回の取材は荒天でしたが、このような中快く受け入れていただき、大変感謝です!

愛宕神社

この石段の先に愛宕神社があります

 

駐車場から石段を登ると基地内の基地内管理道路に合流、この道路を渡ると愛宕神社です。
鳥居をくぐって石段を登りきると石宮が鎮座しています。境内は歴史を重ねた厳かな空気感がありました。

雨の日は滑りやすいのでご注意を

 

「元々は、愛宕神社から愛宕山三角点まで登山道が整備されていましたが、令和元年房総半島台風による被災で登山道が荒れてしまったため、現在は迂回路を整備しています。本日は雨で足元が大変滑りやすくなっていますので、十分お気を付けください。」

房総半島に甚大な被害をもたらした4年前の台風の爪痕は、いまだに里山の至るところに残っています。

愛宕山山頂

基地駐車場から近距離に愛宕山三角点(山頂)があります

 

愛宕神社を迂回し、基地の隊員さんが整備した短管パイプの階段、登山道を登ると愛宕山山頂の三角点に到着。基地内の駐車場を下車してから、徒歩5分ほどの驚くべき近距離です!

「千葉県最高峰愛宕山三角点四〇八.二米」

山頂到達の記念にパシリ

 

山頂道標!確かに三角点もありますし、この地点が愛宕山の山頂です!
千葉県最高峰の登頂記念に撮影。同行いただいたお二人も気さくに応じてくださいました。

睨空台(げいくうだい)

霧のため何も見えず

 

三角点から来た道を戻り、短管パイプの階段を下りずにそのまま進むと、絶好の展望スポット「睨空台」へ。ここは隊員のみなさんが綺麗に整備してくださった広場で、天気が良ければゴロゴロと転がりたい衝動に襲われそうです。

「睨空台からは千葉県の観光スポットであるマザー牧場、東京湾観音(富津市)、鋸山(富津市・鋸南町)、そして大山千枚田(鴨川市)が望めます。一番綺麗に見晴らせるのは空気の冴えた冬場で、富士山も良く見えますよ!」

取材の日は霧が濃く全く房総の山々を眺めることができませんでしたが、晴れた日は次の写真のように素晴らしい展望をお楽しみいただけます。

気象条件に恵まれると見事な富士山が

 

手前に大山千枚田、奥に東京湾観音が見えます

 

登頂記念証

実は登頂記念証に載っている「からっと隊長」には様々なバージョンが・・・

 

おおむね一時間ほどの三角点見学を終了すると、何と、千葉県最高峰登頂記念証をいただきました!

私は今年度127番目の登山者でした。4月に入ってこんなに登山者がいるんですね!
記念証には、峯岡山分屯基地TwitterのQRコードと、ジェット機に乗った鳥のマスコットキャラが載っています。

「このキャラは、空自空上げ普及させ隊隊長『からっと隊長』です。自衛隊では海上自衛隊が毎週金曜日にカレーを食べる習慣が有名ですが、航空自衛隊も隊員の食育に乗り出すべく組織に根付いたメニューを開発しました。それが鶏の唐揚げで、航空自衛隊全体でより上を目指すことを意味する『空自空上げ』と名付けられ、峯岡山分屯基地では毎月月末の金曜日に空自空上げを食べる習慣があります。」

なるほど。唐揚げなだけにフライデーですか、うまいこと考えましたね。
航空自衛隊スペシャルコンテンツページでは、全国の空自基地に根付いた空自空上げレシピが掲載されています。空自ファン、唐揚げファンのみなさまは是非ご覧ください!

これで、今回の取材レポートを終わります。千葉県最高峰愛宕山、そして航空自衛隊峯岡山分屯基地、いかがでしたでしょうか?

ご同行いただきありがとうございました!

 

愛宕山は山頂が航空自衛隊の防空レーダー基地の中にあるため、各47都道府県最高峰の山のうち、最下位の標高でありながら、「低山で登りやすくも最も登りづらい山」といわれています。
その由縁、しっかり検証してきました!

また私自身、市内の消防団に所属して在籍17年目、慣れによる緊張感の欠如を日々自覚しているところでありますが、隊員のお二人の振る舞いからは改めて規律ある行動を再認識させていただき大変勉強になりました。荒天の中、暖かく取材を迎え入れてくださりありがとうございました!

次回は、良く晴れた日に空自空上げを取材させてください!!