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ワタシの移住の決め手
「モノづくりの場所としてピッタリ」
吉田尚洋さん(移住歴10年)の移住の決め手
家族構成(移住当時)
吉田尚洋さん(38)
/吉田恵理子さん(30)
/ 吉田彩乃さん(2015年生まれ)
移住歴:10年(2011年~)
移住エリア:東京都目黒区→和田エリア
モノづくりをする作家にとって、工房や住まいの環境は作品を生み出すインスピレーションを得るためにもとても重要です。今回は、アイアン作家として南房総地域内外で活躍するKhadiWorks(カディワークス)の吉田尚洋(たかひろ)さんにお話をうかがいました。
「海も山もある」南房総へ
吉田さんは、東京都目黒区に生まれ育ち、武蔵野美術大学の彫刻学科に在学中、鉄造形の基礎技術を習得後、卒業。社会人になってからは東京や沖縄にて美術造形・塗装業に従事して生活していました。かねてから『子どもが安心して暮らせる自然豊かな土地で暮らしたい』と思って計画していた都外への移住を決めたのは、2011年の東日本大震災後。当時住んでいた目黒区のマンションが震災で破損したのがきっかけで、妻とともに移住先を検討することになりました。
移住先探しは、WWOOF(ウーフ)という労働力と交換に食事と宿泊場所を提供してもらう仕組みを利用。実際に生活をしながら、千葉県いすみ市や長野県などを検討しました。しかし、なかなかいい物件が見つからず、再度考え直した結果、東京に暮らしていた時によく遊びに来ていた南房総エリアが浮かび上がります。
「南房総エリアには昔からなじみがあり、海も山もあって食材も新鮮でおいしく、子供を育てる環境としても恵まれたいいところだなと思っていました。いつか、こんなところで創作活動ができたらいいな、とも感じていたと思います。また、実家のある東京が近いのもよかったですね」
そして、見つけたのが現在の住居。築100年以上経つ古民家でしたが、移住当初はボロボロで、改修しながら住み始めます。
「最初は家の中にテントを張って生活するほどでした(笑)移住後1年間はアルバイトをしながら改修に専念し、自分たちと義父の協力で何とか改修を終えることができました」
作品でご縁がつながる
家の改修後、ロートアイアン作家の元での修行を経て、2017年6月に独立し、KhadiWorks(カディワークス)を立ち上げました。立ち上げとともに、敷地内に工房をセルフビルドし、アイアン作家としての活動を本格化させます。
「最初は、地元のイベント出展やSNSでまずはアイアン作品を知ってもらうことから始めました。地道な活動でしたが、だんだん認知してもらえるようになりました。特に地元のイベントではご縁がつながることが多く、たくさんの出会いがありましたね。また、県外でのイベントにも自分の車で作品を運んで参加していたのですが、東京方面へは2時間程度で行けるので助かりました」
そんなカディワークスの人気作品のひとつが、アイアン表札。オーダーメイドでお客様それぞれの表札を、ロートアイアンの技術を使ってやわらかく有機的に制作します。
「表札は、いわば家の顔。そんな重要なものを作らせていただけることはとても嬉しいですね。ひとつひとつの作品すべてが印象深く、出会いに感謝しています」
その他にも、会社やお店の看板、キッチン用の棚やテーブル、ランプシェード、手すりなども制作実績があり、南房総地域内では口コミで、地域外はInstagramなどSNS経由で依頼が来るそうです。
作家同士の交流も
吉田さんが移住後におどろいたのは、南房総に住む多様な作家が多いことでした。
「東京では特定のタイプの作家さんとしか会う機会が無かったのですが、こちらには多様なタイプの作家さんがいて、つながりを持ちやすいので嬉しく思っています。ラフな感じで交流でき、コラボレーション作品なども相談しやすいですね。アイアンに限らず、ひとつの素材では作品の見せ方に限りがあるので、異素材を組み合わせた作品に携われるのは楽しいです。これまで、木工作家さんやタイル作家さんとのコラボがありました」
「住環境で言うと、ご近所様がとてもよくしてくださって、娘もかわいがってもらっています。農作物を頂くこともありますね。買い物などはネット通販も利用するので不便は感じません」
移住検討者へアドバイス
「自然からインスピレーションをもらうことも多いです」
モノづくりに携わる作家として、移住検討者へアドバイスをもらいました。 「南房総には海も山もあるので、創作活動中にもリフレッシュしやすい環境。また、自然から感じ学ぶことも多く、インスピレーションの源にもなると思います。田舎暮らしは自然との共生で、草刈りなど大変なこともありますが、長年住めばそれ以上の良さを実感できると思います」 (本記事の内容は2021年取材当時のものです。)