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ワタシの移住の決め手
「自分に合った理想の農業が始められた場所」
五十嵐早矢加さん(移住歴5年)の移住の決め手
家族構成(移住当時)
五十嵐 大介さん(31)
/早矢加さん(32)
/奏介さん(2017年生まれ)
/花奏さん(2020年生まれ)
移住歴:5年(2016年~)
移住エリア:北海道浦河町→白浜エリア
移住をして専業農家を志すと言っても、さまざまな形があります。大規模農業に携わりたい人もいれば、自分の興味関心とともに小規模な農業を始めてみたい人も。また、どんな農作物・畜産物を育てるのかでも選択肢が多くあります。そんな中で、南房総の特産品であるカレンデュラをメインに栽培する“小さな農業”を夫婦で移住して始めた五十嵐早矢加(いがらしさやか)さんに、お話をうかがいました。
海外で見つけた理想の生活スタイルを求めて
都心で働いていた早矢加さんが農業に興味を持ったきっかけは、青年海外協力隊でおとずれた中央アジアのキルギス共和国でした。畜産が盛んで、自給自足に近い自然と共存共生するキルギスの生活スタイルに魅力を感じたそうです。ご主人である大介さんに出会ったのもこの時でした。
帰国後に結婚し、就農を目指して北海道へ移住。しかし、北海道に多い大規模農業は自分たちのイメージとのギャップがあり、悩んでしまったそうです。
この時、大介さんの脳裏に浮かんだのが、キルギスのカレンデュラ畑でした。オレンジ色の絨毯が続く風景が思い出され、「カレンデュラを栽培したい!」と決意。早矢加さんも、キルギスの人たちがカレンデュラを自然の薬草として生活に取り入れていることに魅力を感じていたので、カレンデュラの加工品を作ってカレンデュラの魅力を広めたい!と賛同しました。
市のバックアップでスムーズに就農
実は、南房総市はカレンデュラ生産量が日本一(都内に出荷されているほとんどが白浜産)。それを知った早矢加さんたちは、南房総市へ電話で問い合わせをしました。
「移住してカレンデュラを栽培したい、と相談したところ、市の担当の方が親身に相談にのってくれました。就農に関しては研修制度があること、小規模の農地でも就農可能なことを教えてくれ、すぐにカレンデュラ農家さんと連絡をつないでくれたんです。研修先の農家さんから不動産屋さんを紹介してもらい、家と畑も手配でき、かなりスムーズに移住ができたと思います。タイミングが良かったこともあったかもしれませんが、市のバックアップはとても助かりましたね」
日本一の産地である白浜エリアで自分の畑を持ちながら、カレンデュラ農家での研修を受け、2018年に『ベレケの村』と名前をつけて農家として独立。その間に子どもにも恵まれました。
「自然により近い形の循環農業で鑑賞用カレンデュラをメインに栽培しています。また、OEMでカレンデュラを使ったスキンケアグッズなどを作り、オンラインショップや道の駅などに置いています。ハーブとしてのカレンデュラの魅力が伝わるといいなと思いますね。現在はSNSでの発信がメインですが、いずれはワークショップや花摘みなどを楽しんでもらいたいなと計画中です。また、菜花やそら豆など季節の野菜も同じように栽培し、出荷しています」
自然と人とが共生できる南房総の暮らし
「カレンデュラ栽培をしている畑は花の栽培が盛んなエリアで、周りの花農家さんとも仲良くさせてもらっています。花の時期以外は海女さんをしている元気な年配女性が多くて、アドバイスなど親切にしてくれるんですよ。最初は口調が少し強く感じたのですが、地域ならではの方言のようなものだと分かってからは、普通になりました(笑)。また、畑を辞めてしまう方から農地を引き継ぐこともありました。オレンジ色が美しい南房総市のカレンデュラの花畑を絶やさないためにも頑張りたいなと思います!」
現在は、子どもふたりの子育てと農業を両立させている早矢加さん。子育て面ではどう感じているのでしょうか?
「子どもは今5歳と1歳なんですが、ふたりとも市内の子ども園にお世話になっています。少人数なので、しっかり保育してもらっていると感じますし、季節の行事などもたくさんやってくれるので、子どもも楽しんで通っています。入園も対応が柔軟でスムーズに入園でき助かりました。また、南房総市の給食は完全米飯で、おかずもとてもおいしいんです!わが家の野菜を納めて使ってもらうこともあるんですよ。
休日は外で遊ぶことが多くて、広い場所があるのがいいですね。海も近くて嬉しいです。遊具が無くても子どもはクリエイティブに遊んでいます。大きな声を出してもだいじょうぶなのもいいですね。それから、ご近所さんもとても親切なんですよ」
「キルギスで体験して魅了された、自然と共生共存しながら季節感のある働き方や生活ができていて嬉しく思っています。関わってくださっている皆さんが、オープンマインドでフレンドリーに接してくれるのも、ありがたいですね」
移住検討者へアドバイス
「自分のペースでの就農がしやすいです」
最後に就農希望の移住検討者へのアドバイスを聞いてみました。 「就農移住を検討しているなら、自分たちの就農イメージを持った上で市へ問い合わせてみるといいと思います。その就農イメージにあった色々なアドバイスをしてくれますよ。比較的小規模就農も始めやすく、研修制度もあるので、初めて就農する方にもおすすめです。大規模就農だと初期投資が大変なので、小規模から始められるとリスクも低くて良いと思います」 (本記事の内容は2021年取材当時のものです。)