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「田舎暮らしのための農業という選択」
青木真志さん・佳子さん(移住歴2年)の移住の決め手

家族構成(移住当時)

青木真志さん(40)
/佳子さん(41)
移住歴:2年(2022年~)
移住エリア:
滋賀県→東京都→千葉県我孫子市→南房総市富山エリア

都会を離れて田舎で暮らしたい、という思いをもって移住を検討する方は多いでしょう。その際に大切なのは、自分の移住イメージと現実とのギャップを埋めること。今回は、自分たちのイメージした田舎暮らしを実現するために南房総へ移住した青木真志さん・佳子さんにお話を聞きました。

ゆっくり自由に楽しく暮らしたい

自宅で移住当時のことを振り返るふたり

千葉県千葉市出身の真志さんと和歌山県出身の佳子さんが滋賀県で出会ったのは大学時代。それから東京へ移住し、2010年に結婚、その後も東京での仕事を続けていました。
しかし、真志さんの東京での仕事はとても忙しく、20代後半に体調を崩してしまいます。そんな中でも東京で仕事を続けていましたが、いつしか「都会を離れたい」「人生の後半はゆっくり自由に楽しく暮らしたい」という思いが膨らみ、田舎への移住を考えるようになりました。
和歌山県の本州最南端、串本町潮岬出身の佳子さんは、東京でずっと暮らすのではなくいずれは田舎で暮らしたいと思っていたため、特に反対はしなかったと言います。

移住の候補地は、真志さんの父方の実家のある南房総エリア。子どもの頃、年に2、3回来ていたという館山市の海が気に入っていて、現在の趣味も海釣りです。佳子さんも海が好きだったため、南房総エリアに狙いを定めて2019年頃から本格的に移住を検討しはじめました。

田舎で暮らすための仕事

佳子さんは看護師というどの地域でも比較的働きやすい職についていましたが、真志さんは移住するためには新しい仕事を探さなければなりません。

「インターネットなどで求人情報を見ていたのですが、ピンとくる仕事が見つからなかったんです。東京でもできるような仕事はしたくないと思っていたので。その時に、田舎暮らしを最も楽しむ手段として農業という選択肢を思いついたんです。元々農業をやってみたいとは思っていなかったんですが、健康で楽しく、自由に暮らすにはピッタリの職業だと思って、就農を目指すことを決めました」

その後、東京で行われていた農業関連イベントで、自分が思い描く有機農業に近い農業を実践する農家さんと出会い、縁がつながって千葉県我孫子市で農業研修をはじめることに。農業研修は実際に就農する地域で受けることが多いですが、真志さんは南房総エリアへの就農を前提に研修を行ってもらったそうです。

研修中の真志さんと仲間たち

真志さんが研修に励む中、実際に住む場所を検討するために南房総エリアを訪れていた佳子さん。たまたま館山市で開催されていた南房総オーガニックという農家団体主催のマルシェに足を運びました。そこで、オーガニックな野菜作りをする農家と出会い、知り合いになりました。その後館山市で「おかもファーム」を営む岡本さんと意気投合し、真志さんも一緒に畑で農作業をしたり、地域の話を聞いたりしたそうです。

「正直なところ、南房総エリアの土は野菜作りにすごく向いているというわけではなくて、野菜作りには研修先の我孫子の土の方がよいと思っていました。本当に南房総で野菜作りができるのか不安に思っていたところ、この地域で有機農業をされている先輩方に会い、実際に畑を見せてもらったり話を聞いたりして、頑張れば南房総でも野菜作りができるんだ!と、とても励みになり、心配が減りました。」

研修を終え、南房総へ移住した後に「里山ファーム8」を立ち上げた真志さん。少量多品目の野菜を農薬・化学肥料不使用で栽培し、旬の野菜がいつも入る個人向けの野菜ボックスの発送、地元や都内等の飲食店さん向け販売、道の駅「富楽里とみやま」への出品をメインに活動しています。南房総オーガニックにもすぐに仲間入りし、毎月第一日曜日におこなわれる団体主催の「日曜マルシェ」にも出店しています。

ずっと住みたいと思えるあたたかい地域

現在、ふたりが住んでいる富山エリアの賃貸住居は、南房総市の地域おこし協力隊隊員から紹介を受けた空き家バンクの物件で、ちょうど家と畑がセットになっていました。
また、大家さんの計らいで、移住前の段階から地域の会合に参加や挨拶をさせてもらったりもして、正式に移住をする前から地域との関係性が少しできていたと言います。

「地域の方が、本当にいい人ばかりですごく助けられています。畑作りでも、元々水田だった場所は排水路を掘って水捌けをよくするところから始めなければいけないんですが、手作業では埒が明かずに困っていたら地域の方が相談に乗ってくれ、地域企業のご厚意もあり、何とか形になりました。また、空いている農地の情報や地主さんの紹介などをしてくれる人もいて、有難かったですね。地域の行事などには出来るだけ参加をしたり、ご近所へ訳あり野菜のおすそ分けをしたりしてコミュニケーションをとるように心掛けていますが、無理にやっているというわけではなく、全くストレスは無いですね」。

移住後困ったことはないかと聞くと、
「困ったことはほとんどありません。移住直後は買い物や外食をする場所が近くにないことに少し戸惑いましたが、すぐに慣れました。移住者や地元の方の知り合いがどんどん増えて楽しいです。畑もあるし、この地域でとても良くしてもらっているので、ずっとずっと住み続けたいなと思っています」
とふたりとも笑顔で答えてくれました。

里山ファーム8 Instagram

移住検討者へアドバイス

「南房総はちょうどいい田舎です」

「南房総は、東京へ通える範囲でありながら、里山も海もあって自然が濃いちょうどいい田舎感があります。また、家賃などが他の東京近郊エリアに比べてリーズナブルなのもいいですよ」 「移住は人生を大きく変える決断で一歩踏み出すのに勇気が要ると思いますが、まずはその土地に行ってみることが大事だと思います。行ってみると、ステキな出会いや新しい発見があるはずです!」(本記事の内容は2024年取材当時のものです。)

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